●治療ポイントはどこか
よく温泉場などでマッサージを受け、パンと張った筋肉を揉みほぐしてもらっている方をお見かけしますが、もしあなたがそのマッサージで満足されておられるのならば何の問題もありません。
しかし、マッサージを受けても一時的で、すぐに元に戻ってしまうほどのつらい「こり」に悩まされているとしたら、ぜひここの部分を読み進めて欲しいと思います。
人間のからだは、筋肉が重なり合いながらつながっています。隣り合った筋肉が互いに骨をまたぎ、関節を越えて重なり合っています。
そんな連鎖性の中で、あるひとつの筋肉に強い緊張が生じたとき、その筋肉単独の問題で終わることは決してありません。
右手で何かをつかもうとしたら、つかんだものを保持するために手首の固定が必要となり、そしてそれは次々と緊張の連鎖を生じます。
⇒ひじの固定⇒肩の固定⇒体幹の固定⇒崩れた重心を支えるための脚の固定⇒脚の固定を手伝う足指の固定などとつながっていき、それぞれの固定のために筋肉は緊張して支えるのです。
そういった複雑な連鎖性の中で緊張を緩めようとする場合には、多くの筋肉の連鎖の場となる骨の付着部周辺へのアプローチが非常に有効なのです。
具体的には胸鎖関節周囲であったり、後頭骨から頚椎への移行部であったり、肩甲骨の肩峰突起・上角・下角、胸脇部などいくつかあります。
それぞれが有効な治療ポイントですが、当院が最大の治療ポイントとして行っているのは下顎です。
実は私自身がゆがみの非常に強い人間で、この仕事をはじめるまではひどい腰痛もちだったのです。
その自分が自己治療を重ね、様々な治療ポイントを経て、たどり着いたのがこの下顎調整です(詳細は「自らを治す」をどうぞ)。
下顎に対し、「刺さない鍼」を使いながら、ある手技を加えることで、長年決して緩むことのなかった頚部の筋緊張をほぐすことができる事を発見しました。
やはり下顎への治療ですから、普通の鍼灸院で使われるような刺す鍼では施術するほうも、されるほうも抵抗感がありますよね。その点、「刺さない鍼」は安心して施術を受けていただけます。
また、同時に行う手技もバキバキと動かすようなものではなく、非常に穏やかな手技ですので、大変心地好く受けていただけています。施術を受けられている最中に眠ってしまわれる患者さんもいるほどです。
下顎調整は歯科でマウスピースなどを処方されたりもしています。それで改善できた方はいいのですが、なかにはそれでもなかなか改善されない方もいらっしゃいます。
長年培ってきた緊張はポジショニングを正しただけでは容易にはほぐれないということでしょうか。
そういった場合には直接的に顎まわりの緊張をほぐしていくことが必要なのだと考えています。
こういった、鍼と手技を組み合わせた下顎調整を行っているところは、おそらく全国でも例がないでしょう。
また、下顎調整自体を治療の大きな柱として行っているところは、盛岡やひいては岩手県内でも歯科医以外では当院だけと自負しております。
自律神経失調症の方のみならず、頑固なこりにお悩みの方にもぜひ一度お試しみてはいかがかとお勧めいたします。
●刺さない鍼が何故効くのか
さて、上述の「刺さない鍼」というものをはじめてお聞きになられた方は、刺さない鍼が何故効くのか疑問に思われたことと思います。その点についてご説明します。
当院が何故「刺さない鍼」を使うようになったのかは「刺さない鍼との出会い」をご覧ください。
古くから「てい鍼」という刺さない鍼はありました。
鍼灸の根本は気の補瀉(身体に足りない気を補うか、余分な気を抜くか)にありますが、「てい鍼」はその補法に主に使われていたようです。
また、小児には針を刺しませんので、小児鍼を標榜している針灸院は、少なくとも小児に対しては刺さない針を使用しています。
つまり、これまでも「刺さない鍼」の技法というものは存在していたのです。 当院の特徴はその「刺さない鍼」を「成人に対しても使用し、加えて補瀉ともに使える」ところにあります。
【気の流れを確かめる】
一つの実験をしてみましょう。
左右どちらの手でもかまいませんが、手のひらを上に向けた状態にし、反対側の手で上からかぶせるように手首と肘の中間あたりを握ってみてください。
握った手の人差し指が肘側、小指が手首側にきていると思いますが、あなたは人差し指と小指、どちらの方が温かく感じますか?
人差し指の方が温かく感じませんか?
今度は握られた方の手のひらを下に向けてください。これで手の甲の側を握った状態になりましたね。今度は握った手の人差し指と小指とではどちらの方が温かく感じますか?
小指の方が温かく感じませんか?
実はこれ、気の流れを確認するときによく行われる実験です。
上肢の場合、手のひら側を流れる経絡は肩の方から指先へと流れます。手の甲側を流れる経絡は指先から肩の方へと流れます。
そのため、手のひら側を握ったときは流れてくる気がぶつかる人差し指が温かく感じ、手の甲側を握ったときは小指が温かく感じるのです。
このように私たちの体表には気の流れが存在しており、この気の流れこそが経絡の存在を確認できるものです。
そして、そのことこそが鍼を深く刺入せずとも、体表からのアプローチでもからだに対する影響を与えられていることのひとつの根拠となるものです。
【皮膚の特質 〜 皮膚は考える?】
体表の経絡についてもう一つの視点から見てみましょう。
「第三の脳」(朝日出版社2007年)という本があります。
これを書いたのは傳田光洋氏という化粧品会社の研究員です。
そこに書かれていたのはこれまでの認識をはるかに超える皮膚が持っている驚くべき能力でした。
皮膚はその深層から皮下組織、真皮というクッション組織、ケラチノサイトと呼ばれる細胞がびっしりと重なり合った表皮、その表面を覆う角層からとなっていますが、本書はその表皮のケラチノサイトが持つ驚くべき能力について多く書かれています。
その中で、経絡に直接関わるところだけを取り上げてみます。
以前は皮膚感覚を担っているのは当然神経であると考えられていました。神経末端の受容器が直接圧や痛み、温度などの感覚刺激を受けてその情報を伝達していると考えられていたのです。
しかし、それらの受容体(刺激を感受するセンサー)はミリ単位にしか存在しておらず、数十ミクロン単位の髪の毛を何故私たちは感じ取ることができるのか、日本のすぐれた職人がミクロン単位の傷やゆがみを何故認識できるのか分かっていませんでした。
それが20世紀末ごろから、表皮そのものが受容体であり、感覚の最前線であり、刺激を情報処理し、発信して神経の受容体に伝えていることが分かってきたというのです。
これは私が学生の頃も習っていなかった事実です。この表皮細胞の一つ一つが圧の受容体となって感覚を伝えているという事実によって職人技の説明がつくようになったというわけです。
また、表皮は神経細胞と同様にONとOFFの状態があり、細胞間での情報伝達を可能にしているというのです。
つまり、皮膚はこれまで考えられていたような単なる外的刺激からまもる役割だけでなく、皮膚そのものが情報の受容器であり、伝達組織であり、電気システムだというのです。
さらに、皮膚の特性を示唆する別の実験では、ケラチノサイトを培養皿に適当に蒔いて数日すると、細胞が分裂増殖して培養皿いっぱいになります。
そこで細胞集団の一部を空気に触れさせるとカルシウムイオンが上昇し、それは波のように細胞集団を移動するのです。解析の結果一部に「つながりのある」パタンが見出されたというのです。
傳田氏は、適当に蒔いた細胞集団にもそんなパタンが現れるのですから、実際の表皮においては、もっと秩序だったパタン形成が存在すると考えられるとも述べておられます。
そして、「経絡には末梢・中枢神経が関与していることは間違いないと思いますが、体の表面において、表皮も独自に帯状の電気的に特異な道筋を形成しているのではないか、私はそうにらんでいるのです。」と経絡に関して独自の見解を述べられております。
現代科学の分野から経絡についての見解が述べられることは非常に大きな意義があります。しかもそれが体表への刺激でも情報伝達が可能だとするものは、私たち、接触鍼による鍼灸を行っている鍼灸師にとって、大きな後押しになるものです。
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●こんなかたにおすすめ
まず、当院の特徴としては以下の三点が挙げられます。
♯1.刺さない鍼は安全・安心
当院の鍼は基本的に刺さない鍼です。ですから、施術そのものに対するストレスから開放されて治療を受けることができます。しかも、刺さない鍼には「気胸」などの事故を起こすことがない安全な鍼であるというメリットもあります。
(※ただし、刺絡治療も行っております。)
♯2.東洋医学の真髄
また、当院の治療の基礎となっている経絡治療は、「人体には気血が流れており、その気血の流れの不調によって病が発する」とする東洋医学思想に忠実に従った治療体系です。
この治療では症状のあるところではなく、離れたところに鍼を当てて治療することが多いのです。ですから、治療を受けたあなたは腹の張りや圧痛が手足のツボに鍼を当てただけで、その場で軽くなったり、五十肩が脚のツボに鍼を当てただけでその場で動かせるようになったりと、不思議な体験をすることができるでしょう。
♯3.理学療法士としての対応も
そして、時には理学療法士として運動学的な観点から治療やトレーニングを選択する場合もあります。また、後でも触れますが、理学療法士の時代に培われた「リリース法」という徒手療法は当院の治療の大きな根幹の一つとなっています。上述していた下顎調整で使われている手技もこれの応用です。
以上のような特徴を持つ当院の治療は、以下のような方々にお試しいただきたいと思っております。
- 痛刺激に敏感な方
- 気候の変動など外部環境によって体調の変動が激しい方
- 気が動きやすい方
- 東洋医学に興味があり、試してみたい方
- 刺す鍼での治療を続けてきたがなかなか改善しなかった方
- 病院や整体、マッサージでも改善しなかった方
- 漢方薬を飲み続けているが改善しなかった方
- トレーニングも必要な方